MonotipsStation · #284

monotips station vol.284 2025年、イベント販売で感じた様々な変化についてのTIPS / 改正行政書士法が2026年1月1日に施行されるTips

2025年秋の物販イベントで見えた「売れるブランド」と「そうでないブランド」の分かれ目、そして2026年1月施行の改正行政書士法で何が変わるのかを、あらかわ・しばっちの対話から読み解く。

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秋の物販イベントで見えた売れ方の変化と、行政書士法改正の要点|monotips station 第284回

イントロダクション

monotips station 第284回。今回もあらかわとしばっちの実務ネタ2本立てです。

あらかわパートは、「2025年、イベント販売で感じた様々な変化についてのTIPS」。秋の3連休を丸ごと東京の物販イベントに費やし、その2週間前も別のイベントで東京にいたというハードスケジュールの中で見えてきた、売り場のリアルな変化を語ります。

しばっちパートは、「改正行政書士法が2026年1月1日に施行されるTIPS」。行政書士業界では大きな話題になっている法改正の中身を、実務者の視点で噛み砕いて解説しました。

イベントで物を売っている人にも、行政手続きに関わる仕事をしている人にも、今日から役立つ視点をお届けします。


1. 2025年秋、物販イベントで見えた「売れ方」の変化

1-1. 秋はイベントが重なる季節、そして見えてきた二極化

あらかわは3連休の3日間、東京の物販イベントにずっと出ていました。しかもその2週間前にも、別カテゴリーのイベントでやはり東京に滞在。再来週には神戸でのイベントも控えていて、秋は毎年イベントが密集する季節になっているといいます。

現場に立ち続けて見えてきたのは、「景気が良いか悪いか」という単純な話ではありませんでした。あらかわの感覚では、以前のようにパッと来てパッと買っていく客よりも、じっくり吟味してから決める客が増えている一方で、好きなブランドの商品は迷わず即決で買っていくという二面性があるといいます。

つまり、イベント全体の売上が均等に伸びているのではなく、ブランドごとの差がどんどん広がっている。売れているところはさらに売れ、売れないところはさらに売れない。この「二極化」こそが、2025年のイベント販売で一番はっきり感じられた変化でした。

1-2. 有料化が進むイベント市場、それでも来場者は増え続ける

もう一つの大きな変化が、イベントの有料化です。あらかわが出店した東京のイベントは、初日の午後入場だけで3000円を超える価格設定。3日間通しで見ると、日ごとに料金が下がっていく仕組みになっていて、ちょっとした遊園地やフェスのような入場料設計になっていました。

驚くべきは、これだけの入場料を払ってでも来場者数自体は年々増えているという点です。ステーショナリーや雑貨といった趣味性の高い商品ジャンルは、いわば「円遊び」の感覚に近く、USJのような大型テーマパークに比べれば数千円で非日常を味わえる、コストパフォーマンスの良い娯楽として選ばれているのかもしれません。

円安の影響で、海外からの来場者も目立って増えました。彼らにとっては日本の価格は実質バーゲンセールのような感覚で、予算をあまり気にせずどんどん購入していく姿が印象的だったといいます。ただし、だからといって何でもかんでも値上げすれば売れるわけではなく、その場の熱気をどう作るかという難しさは変わらないと、あらかわは冷静に見ています。

1-3. ヘビーユーザーを掴む商品設計 — 木軸シャーペンの例

事前にブランドのファンになっていて、「このイベントで買える」と知って来場する客を作れているブランドほど、強さを増しています。日頃のオンライン発信とイベント出店を連動させ、ヘビーユーザー向けにきちんと「買えるもの」を用意しているブランドがその代表です。

コレクション欲を刺激する高単価商品

象徴的な例として挙がったのが、木軸のシャーペンです。三菱の「ピュアモルト」のような、樽材を使った高級筆記具のさらに上位互換にあたる工芸品的な木軸シャーペンが、1万円から3万円という価格帯にもかかわらず飛ぶように売れているといいます。

買った人はオイルで磨いて愛でるように扱う、まさにコレクターアイテムとしての楽しみ方です。しかも購入層には中学生も含まれていて、何万円も握りしめてやってくる姿があったそうです。実用品としてのシャーペンというより、時計や鉄道模型のコレクションに近い文脈で消費されている、という見立てにはうなずかされます。

1-4. 出る杭、専門店の強さ、価格帯設計 — 現場で磨かれた売り方

目立つブランドには模倣がつきものです。今回のイベントでも、権利関係で揉めているらしい出店者が複数見受けられたといいます。しかし、それを理由に出店をためらうのは本末転倒だというのがあらかわの立場です。

「真似されるぐらい出ないうちから心配するのはダサい」(あらかわ)

模倣を恐れて意匠登録などの権利固めばかりに時間をかけ、肝心の商品がまったく売れていないというパターンは決して珍しくありません。まずは真似されるくらい打ち出してみる姿勢こそが、二極化した市場で「売れる側」に入るための前提条件になっているというわけです。

もう一つの学びが、専門店化の強さです。同じ売り場面積・同じ人員でも、商品ラインナップを幅広く持つより、あえて絞り込んだ専門店の方が初めての客には認識されやすく、入店のハードルも下がります。ラインナップを絞る勇気を持てるかどうかが、初対面の客との出会いを増やすカギになっているようです。

加えて、売れ線となる価格帯をあらかじめ用意しておくことも重要な設計ポイントです。説明を聞いて「気になった」タイミングで提示する価格が3000円程度であれば、多少迷っても購入に踏み切ってもらいやすい一方、5000円を超えてくると一気にハードルが上がる、という肌感覚が語られました。同じ商品でも、伝え方=トーク力によって売れ行きが大きく変わるという点も、現場に立ち続けているからこそ見えてくる実感です。

1-5. 「売れる」よりも「売れ続ける」ことの方が難しい

イベント現場を通じてあらかわが最終的にたどり着いたのは、「売れることより、売れ続けることの方が数倍難しい」という視点です。色を変える、柄を変える、新商品を出す——こうした小手先の変化は、目先の売上を立てるには有効です。しかし本当に難しいのは、同じ商品を作り続けながら売り続けるための仕組みを作ることだといいます。

50年近く見た目をほとんど変えずに売れ続けている定番商品のように、変化がないことがブランドの信頼になっている例もあります。目新しさを追い続けることに疲れたときこそ、「ネタがなくなった」と感じるのは変化を怠っている合図ではなく、むしろ売り続ける仕組みそのものを見直すタイミングなのかもしれません。

物を作ること、それも誰かがリスクを負って形にすることには、他では代替できない価値があります。AIがどれだけ発達しても、フィジカルな「物を作る」という営みには人の手が残り続ける。だからこそ製造業へのリスペクトを持ち続けたい、という思いでこのテーマは締めくくられました。


2. 改正行政書士法、2026年1月1日施行で何が変わるのか

2-1. 5つの改正点、まず全体像をつかむ

行政書士法の改正が2026年1月1日に施行されます。業界内では大きな話題になっている一方、一般のビジネスパーソンにはまだあまり知られていない内容だとしばっちは前置きします。

改正点は大きく5つ。使命規定の追加、職責の明確化、特定行政書士の業務範囲拡大、業務の制限規定の趣旨の明確化、そして両罰規定の整備です。このうち一般の読者にも関係が深いのは「業務の制限規定の趣旨の明確化」で、しばっちもここを重点的に解説しています。

2-2. 使命と職責の明記 — デジタル時代に取り残される人を支える

まず追加されたのが、行政書士の「使命」規定です。行政書士は業務を通じて行政手続きの円滑な実施に寄与し、国民の利便に資し、ひいては国民の権利利益の実現に資することを使命とする、という趣旨が明文化されました。

あわせて「職責」として、常に品位を保持することも求められています。ここでしばっちが強調していたのが、デジタル化社会に取り残されそうな人たちをしっかりサポートする責務が伴っているという点です。パソコン操作に不慣れな人が行政手続きで困らないよう、行政書士自身がデジタル対応を進め、必要であればファックス中心の業務からも脱却していく必要がある、という受け止め方でした。

2-3. 特定行政書士の業務範囲拡大 — 不服申立てができる書類が広がる

次に挙がったのが、特定行政書士の業務範囲拡大です。特定行政書士とは、通常の行政書士よりも一段上の資格で、許認可の申請が却下された場合などに、再調査の請求・審査請求・再審査請求といった不服申立てを代理できる立場にあります。

これまでは、行政書士自身が作成した書類についてしか、この不服申立てを扱えませんでした。今回の改正では、誰が作成した書類であっても不服申立ての対象にできるようになります。たとえば個人が自分で罹災証明などを申請して却下された場合でも、後から特定行政書士に不服審査を依頼できるようになるということです。これまで特定行政書士の資格を取るメリットを感じにくかった人にとっても、活用の幅が広がる改正だといえます。

2-4. 業務の制限規定の明確化 — 「無料でも代行はダメ」が意味すること

今回の改正で最もインパクトが大きいとしばっちが位置づけるのが、この「業務の制限規定の趣旨の明確化」です。

「報酬を得て」の対象が広がった

改正では「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加えられました。これは、単に書類作成の対価として金銭を受け取る場合だけを指すのではありません。何らかの会員制度の会費を得ている見返りとして、行政に提出する書類作成を無料で提供するようなケースも、規制の対象として明確化されたということです。

業際問題との関係

自分自身で書類を作成して行政窓口に提出することは、これまでもこれからも誰でも自由に行えます。問題になるのは、他人の依頼を受けて代わりに書類を作成する行為です。たとえば税理士が、本来の税務署提出書類の範囲を超えて、行政書士の独占業務にあたる書類まで代行してしまうようなケースが、より厳しく線引きされることになります。逆に、中小企業診断士のようにそもそも独占業務を持たない専門職は、アドバイスはできても書類の代行作成はできない、という整理も改めて確認されました。

2-5. なぜ今、この改正なのか — 闇コンサル対策という背景

この明確化の背景には、いわゆる「闇コンサル」の存在があります。補助金がジャブジャブ出ていた時期を中心に、品質の低いサービスを高額な料金で提供し、トラブルを引き起こすコンサルタントが目立つようになりました。今回の改正は、こうした無資格の代行行為に対して、より明確な歯止めをかける狙いがあるとしばっちは解説します。

最後にもう一つ追加されたのが、両罰規定の整備です。以前から存在していた規定ですが、今回の改正でより厳格な内容に強化されています。

デジタル化が進むほど、行政手続きそのものの存在意義が問われる場面も増えていきます。それでも、デジタル化に対応しきれない人を支え、正しい手続きを間に立って進める専門職としての行政書士の役割は、むしろこれからの方が重みを増していきそうです。


エピソードの総括

今回の学びとポイント

一見畑違いに見える2つのテーマですが、共通しているのは「現場に立ち続けて初めて見える変化」への向き合い方です。

押さえておきたいポイント

  • イベント物販は景気全体の良し悪しより、ブランドごとの二極化が進んでいる
  • 有料化が進んでも来場者は増え続けており、ヘビーユーザー向けの商品設計ができるブランドが強い
  • 模倣を恐れて動かないより、真似されるくらい打ち出す姿勢の方が結果につながりやすい
  • 「売れる」より「売れ続ける」仕組みづくりの方が本質的に難しい
  • 改正行政書士法では「報酬を得て」の対象が明確化され、無料オプションでの書類代行も規制対象になる

あらかわ・しばっちからのメッセージ

現場で数字を追い続けるあらかわと、法制度の変化を追い続けるしばっち。立場は違っても、両者に共通するのは「表面的な変化に一喜一憂せず、その奥にある構造を見ようとする姿勢」です。イベントの売上も、法改正の是非も、目先の増減や賛否だけで判断せず、なぜその変化が起きているのかまで踏み込んで考えることの大切さが伝わる回でした。

次のステップ

イベント出店や物販に関わる方は、自分の商品ラインナップが「専門店化」できているか、そして「売れ続ける仕組み」があるかを一度棚卸ししてみてください。行政手続きに関わる仕事をしている方は、2026年1月1日の改正行政書士法施行に向けて、自分の業務範囲がどこまでかを再確認しておくことをおすすめします。


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