MonotipsStation · #329

値段が壊れる時代の買い方と、未経験の仕事を受ける境界線|monotips station 第329回

コンビニおにぎりの値下げとiPhone新機種の高額化から見える「値段が壊れる時代」の買い方、そして未経験の仕事依頼を受けるか断るかの境界線をmonotips station第329回から整理。

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値段が壊れる時代の買い方と、未経験の仕事を受ける境界線|monotips station 第329回

イントロダクション

monotips station 第329回は、あらかわとしばはらの実務ネタ2本立てです。

あらかわパートは、「おにぎりの10円と、iPhoneの40万円。変わる値段と買い方のTIPS」。羽田空港の立ち食い寿司、コンビニおにぎり、新型iPhoneという身近な3つの値段を並べながら、いま値段の付き方がどう「壊れて」いるのかを考察します。

しばはらパートは、「未経験の業務依頼が来た時の『受ける・断る』の境界線のTIPS」。行政書士事務所を経営するしばはらが、専門外の依頼をどこまで受け、どこから紹介に回すのかという、専門職・副業ワーカーに共通する悩みを整理します。

値段の話も仕事の受け方の話も、根っこにあるのは「何を基準に選ぶか、選ばれるか」という同じ問いです。今日から使える視点をお届けします。


1. おにぎりの値下げとiPhoneの40万円が示す、値段が壊れる時代の買い方

1-1. 「お得感」込みの値段が崩れると、選ばれる理由も崩れる

あらかわが最初に挙げたのは、羽田空港にある立ち食い寿司店の話です。チェックイン後の待ち時間に立ち寄る定番の店で、以前はマグロ盛りが1,700円ほどだったのが、この1年ほどで3,000円近くまで上がったといいます。1貫あたりの単価が倍近くになった計算です。

ここであらかわが指摘したのは、値段そのものの高さだけではありません。「こんなにいいものがこの値段で」という“お得感”込みで選んでいた消費行動は、値段が上がった瞬間にその魅力が半減してしまう、という点です。牛丼の看板メニューが値上げしにくいのも、客がその価格を「基準値」として覚えてしまっているからだと、あらかわは話します。

1-2. コンビニおにぎりの値下げは「売れなくなったから」ではない

一方で、値下げに動いた例もあります。あらかわによると、コンビニのおにぎりは海苔などの原材料高で200円を超える価格になり、消費が落ち込んでいたところ、ローソンが値下げを発表したとのことです。ポイントは、その理由が「売れなくなったから」ではなく「米価が下がったから」だという説明だった、という点です。

値上げも値下げも、結局は「客が離れるライン」の見極め

あらかわは、これを単純な良いニュースとして受け取っていません。値下げしても値上げ前の水準までは戻らないため、「まだ高い」という感覚は残る、という見方です。値段は原価だけで決まるわけではなく、資本主義の下では「客が離れるライン」をどこに置くかという駆け引きだと整理していました。

「不当に利益を取る必要はないけれども、仕事の内容とかでも選ばれてるっていうのはあったはず」(あらかわ)

値段の安さだけで選ばれていた商売は、その安さが崩れた瞬間に選ばれる理由まで失いかねません。逆に言えば、値段以外に選ばれる理由をどれだけ持てているかが、値上げ・値下げの波に振られない土台になります。

1-3. 40万円のiPhoneと、国内外の賃金差という現実

もう一つの事例が、新型の折りたたみ型iPhoneです。あらかわが紹介した数字では、256GBで36万4,800円、512GBで39万9,800円という価格帯になるとのことでした。スマートフォン1台に40万円という金額に、あらかわは「土地買うぐらい狂ってる」という感覚を口にしています。

「買える・買えない」を分けるのは国内外の給与差

さらに気になったのが、米国での価格が1999ドルとされている点です。あらかわの説明では、米国では数日分の給与でこの端末が買える計算になるのに対し、日本では同じ端末がより重い負担になる、という比較でした。同じ商品でも、賃金水準の違いによって「高い」の感じ方がまったく変わってくるわけです。

趣味として買うか、生活必需品として買うか

あらかわは、iPhoneのような端末は「ライフラインではあるけれど、40万円出す時点で趣味の領域に入る」とも話しています。中古の端末でも生活は成立するなかで、それでも新型を選ぶかどうかは、コスパの計算ではなく「好きだから買う」という納得感の話になる、という結論です。

高校生に持たせるかどうかという例も出ましたが、ここでの本質は「金額の大小そのものより、その金額に自分自身が納得できているか」という視点です。値段が壊れて見える時代だからこそ、周りの評価より自分の納得感を基準に置く姿勢が、買い方のTIPSとして効いてきます。


2. 未経験の業務依頼を受けるか断るか、境界線を決める3つの軸

2-1. 「近い業務」ほど、受けるかどうかの判断が難しい

しばはらが取り上げたのは、行政書士としての実務から見えてきた「未経験の依頼をどう扱うか」という悩みです。まったく畑違いの依頼であれば紹介に回す判断はしやすい一方、専門分野に「近い」依頼ほど、受けるかどうかの線引きが難しくなるといいます。

しばはらの本業は建設業関係の許可申請ですが、そこから宅地建物取引業や産業廃棄物の許可申請といった、手続きの構造が似た依頼が来ることがあります。「許認可を取る」という枠組みでは近く見えても、根拠となる法律や必要書類はまったく別物です。

2-2. 業務の距離感を測る3つの軸

軸1: 業務の距離が「遠い」場合は紹介に回す

しばはらの整理では、専門分野からかなり離れた依頼(たとえば許認可業務と遺産相続のような書類作成の性質は近くても中身が遠い業務)は、無理に受けずに専門家を紹介した方が、結果的にお客さんの満足度も高くなるといいます。判断がしやすいのも、この「遠い」ケースです。

軸2: 業務の距離が「近い」場合は、受けることで領域が広がる

逆に、近い業務は「やってみるか」という判断に傾きやすく、実際に一度受けて対応できると、次回以降は自分の対応範囲として定着していきます。ここで無理に断り続けていると、事務所の対応領域はいつまでも広がらない、というのがしばはらの実感です。

軸3: 見積もりと調べものの時間がズレるリスク

一方で、近い業務でも実際に着手すると想定より調べものに時間がかかり、提示していた金額では割に合わなくなることもあります。「近そうだから受けた」だけで進めると、労力と報酬のバランスが崩れるリスクがある、という注意点です。

2-3. 受けるときの態度は「知ったかぶりをしない」こと

しばはらが強調したのは、未経験の依頼を受けるときの伝え方です。「できます」と言い切るのではなく、「経験はないが近い分野なので調べて対応します」と、正直に立場を伝えることを重視しています。

「いらんことは言わないけど嘘も言わない、というのが大事」(しばはら)

あらかわからも、実際に依頼を一度断った後、それでも「あなたに頼みたい」と改めて依頼が来て受けた経験が語られました。信頼関係がある相手であれば、専門外の依頼でも指名されること自体が一つの答えになる、という視点です。

断るにしても受けるにしても、共通するのは「できるふりをしない」という一点です。これは、値段の話と同じく、目先の対応力や安さだけで選ばれる関係を続けると、どこかで無理が出てしまうという構造につながっています。


エピソードの総括

今回の学びとポイント

今回の2テーマに共通するのは、「安さ」や「対応できること」だけを選ばれる理由にすると、それが崩れたときに一気に弱くなる、という視点です。

押さえておきたいポイント

  • 値段は原価だけでなく「客が離れるライン」の見極めで決まり、値上げも値下げも一方向には進まない
  • 「お得感」込みで選ばれていた商品・サービスは、値段が変わると選ばれる理由自体が崩れやすい
  • 高額な買い物は「コスパ」ではなく「自分がどれだけ納得しているか」で判断してよい
  • 未経験の業務依頼は、専門分野との距離が「近いか遠いか」で紹介と挑戦を切り分けるとよい
  • 未経験の依頼を受けるときは、知ったかぶりをせず正直に伝えることが信頼につながる

あらかわ・しばはらからのメッセージ

値段も仕事の受け方も、外側の基準だけに乗ってしまうと、その基準が変わった瞬間に足元が崩れます。自分がどこで納得し、どこまで対応するのかを自分の言葉で説明できることが、値段が揺れる時代を乗り切るための土台になりそうです。

次のステップ

最近「高いからやめた」買い物や、「安いから選んだはずが違和感を覚えた」買い物がないか、一度振り返ってみてください。また、専門外の仕事を頼まれたときに、自分なら「近いか遠いか」のどちらで判断しているかも、あわせて考えてみるとよさそうです。


monotips stationについて

monotips stationは、ビジネスの小ワザを紹介するWEBマガジン「monotips」から生まれたPodcastです。編集長のあらかわと副編集長のしばはらが、毎週ビジネスに役立つTIPSを紹介しています。

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