MonotipsStation · #328

ゴルフという踏み絵と、商売を面白がる原点で見えたマーケットインの強さ|monotips station 第328回

展示会で出会った作家さんの「遊ぶように仕事をする」姿勢からマーケットインの強さを学び、ゴルフを「人間性を映す踏み絵」として捉え直すmonotips station第328回のTips。

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ゴルフという踏み絵と、商売を面白がる原点で見えたマーケットインの強さ|monotips station 第328回

イントロダクション

収録日・放送予定日ともに2026年9月9日、monotips station第328回です。今回もあらかわとしばっちの実務ネタ2本立てです。

あらかわパートは、東京出張の展示会で出会った作家さんの話をきっかけにした「商売を面白がる原点に戻るTIPS」。トレンドをどんどん乗り換えながら、遊ぶように仕事をして結果を出しているブランドの姿勢から、マーケットインの強さを考えます。

しばっちパートは、「究極の非効率か、最高の踏み絵か。小規模事業者がゴルフをするメリットとデメリット」。所属するコミュニティでゴルフに行くことになったしばっちが、練習に苦戦しながらたどり着いた結論を語ります。

仕事のテンションを見直したい人にも、付き合いでゴルフに行くべきか迷っている人にも、今日から使える視点をお届けします。


1. 商売を面白がる原点に戻るTIPS

1-1. 展示会で出会った、変わり身の早い作家さん

先週、あらかわは東京出張で展示会に出展していました。そこで隣のブースに新規出店していた作家さんが「すごい売れました」と声をかけてくれたことが、今回のテーマのきっかけです。

この作家さんは、もともと文具好きが趣味だったわけではなく、子どもを保育所に預けるときにおむつへ名前を書くのが面倒で消しゴム版画を作り始めたのがスタートでした。友人が文具好きで「これ可愛いね」と褒めてくれたことをきっかけに、イベント出店を重ねてブランドとして育っていったといいます。

そのブランドが今どういう動き方をしているのか、あらかわは詳しく聞き込んでいきました。

1-2. トレンドを乗り換える判断の早さ

この作家さんの特徴は、モチーフやスタンスは変えないまま、載せる「キャンバス」をどんどん変えていくことです。ハンコがブームだった時期から、ぷっくりシール、ラベルシール、透明のラベルシールへと、次々に商品の形を移してきました。

ポイント1: 見切りの早さと執着のなさ

10年近くハンコで実績を作ってきたにもかかわらず、今回の展示会ではハンコを一つも並べていなかったそうです。あらかわはこれについて、男性は自分が作ってきたものへの執着が強くなりがちだが、この作家さんは比較的あっさりと看板商品を切り替えられる、という点に注目していました。

ポイント2: 遊ぶように仕事をするテンション

物販は商品開発、検品、パッケージング、発送、宣伝までやることが多く、疲れる作業の連続になりがちです。ところがこの作家さんは、疲れる暇もないほどナチュラルに、遊びながら仕事を進めているように見えたといいます。

「このスタンスで仕事してたら、勝てへんなって思った」(あらかわ)

あらかわ自身、ウェブ制作やシステム開発をしていた頃は同じようなテンションで仕事をしていた感覚があったものの、物販を7〜8年続けるうちに、そのノリを忘れていたと振り返ります。

ポイント3: リードタイムの短さが資金繰りを助ける

この作家さんの商品は製造リードタイムが2週間程度と短く、受注生産・予約販売で回せる点も強みです。あらかわの会社では平均1.5〜2ヶ月かかるため、ある程度の在庫を積んでおく必要があり、資金繰りへの負担が大きくなります。リードタイムの短さは、それだけで資金繰りの負担を大きく減らす要因になります。

1-3. 卸は「レバレッジをかける場所」

今回の展示会は、この作家さんにとって初めての卸展開の場でもありました。ラベルシール1つあたり1,000〜1,500円程度の単価で、複数の店舗が1柄につき20セットを、30柄前後まとめて注文していく規模だったといいます。単価と柄数、店舗数を掛け合わせると、1回の展示会だけで100万円を超える規模の商談になる計算です。

「基本的には、市場で面白がってるものをわいわいキャーキャー言いながら作ってる」(あらかわ)

あらかわはここから、卸は最初から設計するものではなく、直販でブランドを育てたあとにレバレッジをかける場所だという捉え方に至りました。自分のこれまでのやり方は、順番も含めて見直す余地があると感じたそうです。

1-4. マーケットを作るのではなく、マーケットインで見る

この作家さんの一番のモチベーションは、単価や売上そのものではなく、文具好きの友人とキャッキャ言いながら「これ可愛いね」「これ作って売れるかな」とやり取りする過程そのものにあるようです。数字や戦略は、その結果として後からついてきています。

あらかわが今回の結論としてたどり着いたのは、小規模事業者ほど、自分でマーケットを作ろうとするのではなく、すでにある市場で面白がっているものをよく観察してマーケットインで動いたほうが勝ちやすい、という視点です。仕事のテンションを思い出したい人ほど、まずは自分が最後に「遊ぶように仕事をした」のはいつだったか、振り返ってみる価値がありそうです。


2. 小規模事業者がゴルフをするメリットとデメリットのTips

2-1. ゴルフから逃げ続けてきた44年

しばっちは、これまで「ゴルフをやっているか」と聞かれるたびに「やっていません」と答え続けてきました。ところが、所属しているコミュニティでゴルフに行く流れになり、気軽に「いいよ」と答えてしまったことから、下手すぎると気まずいというプレッシャーを感じて練習を始めています。

今回のTipsは、そもそも経営者はなぜゴルフをやるのか、ビジネスにプラスになるのか、それとも単なる趣味なのかを考える内容です。

2-2. 結論を先に置いてから考える

しばっちはまず結論を先出ししています。仕事を取るために無理してゴルフをする必要はまったくない、というのが前提です。ただし、自分のビジネススタンスを守るための「究極のフィルター」として、あるいは一歩先の未来を聞き出す場として使うなら、強力なツールになるという視点もあるといいます。

「仕事を取るために無理してゴルフする必要は全くない。ただ、自分のビジネススタンスを守るための究極のフィルター、一歩先の未来を聞き出す場として使うなら強力なツールになる」(しばっち)

論点1: タイパ・コスパの悪さ

移動を含めて丸一日かかり、朝早い集合や平日開催も多く、道具代や練習代を合わせると1回あたり数万円規模のコストがかかります。しばっちの場合、平日に誘われることが多いため仕事の調整も必要になり、ここは小規模事業者ならではの負担として挙げていました。

論点2: 人間性が丸裸になる場

ミスショットをしたときの怒り方、キャディへの接し方、ルールをごまかすかどうかといった振る舞いは、半日以上一緒にいると隠しきれません。後ろの組への配慮や、進行が遅い組へのイライラをどう扱うかも見られています。しばっちはこれを「長く付き合いたい人かどうかを判断するフィルター」になると整理していました。

論点3: 一歩先の未来を引き出す非効率な時間

会議室で構えて話しているときには出てこない本音が、移動中や食事中にリラックスした状態でポロッとこぼれることがある、という視点です。ハンデキャップ制度によって初心者とベテランが同じ土俵で競える競技性や、気候や地形を読みながら戦略を組む「自然対自然」の面白さも、この時間の価値を支えています。

2-3. 筋トレ代わりに始めたゴルフ練習

しばっちは最近、ウォーキングは続けていても筋トレはしていなかったところ、久しぶりの練習で腕の痛みを感じたことから、ゴルフ練習を筋トレの代わりとして続けています。スイングの振動に体が耐えられるようになってきた実感を、成長のバロメーターとして捉えているようです。

2-4. 競技に興味が持てなくても行く価値はある

しばっちの結論は、ゴルフそのものが楽しいかどうかにかかわらず、一緒に行く人たちの振る舞いを見たり見られたりする場として価値がある、というものです。競技性そのものへの納得よりも先に、来週のラウンドに向けて気持ちを整えている様子でした。


エピソードの総括

今回の学びとポイント

今回の2テーマに共通するのは、「数字や戦略よりも先に、その場を面白がれているか」という視点です。

押さえておきたいポイント

  • トレンドを乗り換える判断の早さと、遊ぶように仕事をするテンションが、結果として売上につながる
  • リードタイムの短さ・受注生産の仕組みは、資金繰りの負担を大きく減らす
  • 卸は最初から設計するものではなく、直販で育てたブランドにレバレッジをかける場として使える
  • ゴルフは、コスト面では非効率だが、一緒に過ごす人の人間性を映す「踏み絵」として機能する
  • 会議室では出てこない本音は、リラックスした非効率な時間の中でこそ出やすい

あらかわ・しばっちからのメッセージ

数字や戦略を先に置くと、仕事も付き合いも息苦しくなります。今回の2テーマは、それぞれ「面白がっているかどうか」「一緒にいて気持ちのいい人かどうか」を軸に判断してみると見え方が変わる、という点で通じるものがありました。

次のステップ

自分の仕事について、最後に「遊ぶように」取り組んだのがいつだったか振り返ってみてください。また、付き合いでゴルフや会食に迷っている人は、コスパだけでなく「一歩先の未来を聞き出せる場かどうか」という視点も加えてみると判断がしやすくなるかもしれません。


monotips stationについて

monotips stationは、ビジネスの小ワザを紹介するWEBマガジン「monotips」から生まれたPodcastです。編集長のあらかわと副編集長のしばっちが、毎週ビジネスに役立つTipsを紹介しています。

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