人に気持ちよく教えてもらう聞き方と、展示会を締め切りにする理由|monotips station 第274回
人に教えてもらうときの場と相手への配慮、渡せる知見、展示会を締め切りにして仕事を進める考え方を紹介します。

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人に気持ちよく教えてもらう聞き方と、展示会を締め切りにする理由|monotips station 第274回
イントロダクション
人に質問するとき、どこまで調べてから聞けばいいのか。展示会は、売上を作る場であると同時に、少人数で仕事を進めるための締め切りにもなります。第274回では、ブースで教えてもらう側の振る舞いと、展示会に出る意味を、あらかわとしばっちが話しました。
2025年8月27日配信の今回は、お盆を挟んで2週間ぶりのオンライン収録です。オンラインはいつもと勝手が違い、少し戸惑うところから始まりました。
冒頭では、しばっちが滋賀のクラブハリエでケーキの食べ放題に寄った話から始まりました。今年から役員を務める行政書士会阪神支部の集まりでは、宝塚のホテルに来た100人弱の進行と司会も担当したそうです。
あらかわは同じお盆にシンガポールへ行き、19時から24時まで開いている動物園が大行列だったこと、日本人のお客さんとガイドが多かったことを話しました。子どもが大人の宿泊料金になる前に、宿代を抑えられるうちに海外を一度経験させたいと考え、半年ほど準備した旅行です。子どもは楽しかったと言っていたそうです。飛行機代は座席のぶんであまり変わらず、負担が大きいのは宿代だとも話していました。
前半は、人に気持ちよく教えてもらうための心がけ。後半は、前半の聞き方を意識したしばっちが、あらかわに展示会やイベントの意味を尋ねます。人に聞く機会が多い人にも、出展の意味がまだ見えない人にも、参考になる会話です。
1. 教えてもらう前に、相手の仕事を止めない
前半では、名古屋のイベントで出会った来場者の振る舞いから、教えてもらう側が守りたい距離感を考えました。
1-1. 名古屋のブースで起きたこと
きっかけは、あらかわが海外から戻った週末に出た名古屋のイベントです。規模の大きい会ではなく、準備に追われながらの日帰りでしたが、出展自体は楽しかったと話しています。
そこで気になったのが、ある来場者の入り方でした。その人はブースの前で「これも教えて」「どうしたらいいのか」と矢継ぎ早に聞き、テーブルの前にいきなり座り始めます。キャリーのようなものに椅子が付いたものを各ブースの前に置き、まとめて質問して、次のブースへ移っていく。そんな動きでした。
終わったあとに友人とその違和感を話したとき、あらかわは相手を悪人だとは言い切りませんでした。むしろ、悪意がないことの方が扱いにくいと感じたようです。
「悪人かって言われたら別に悪人ではないけれども、悪意がないのが怖いよね」(あらかわ)
あらかわ自身も、商売をしていれば「教えてください」「これはどうなんですか」と聞く側に回ります。しばっちのように、専門家として聞かれる側に立つこともある。だからこそ、どう学ぶか、どう教えてもらうかが今回の話題になりました。
1-2. 場と相手を調べてから聞く
あらかわが最初に挙げたのは、その場が何のためにあり、相手がそこで何をしているのかを調べて、尊重することです。
販売会のブースの真正面に体を置けば、他のお客さんは商品を見られません。話したいことがあると、その一点に集中してしまいますが、顔なじみであれば、お客さんが来たときに場所を空ける。あらかわは、それを当然のことだと思っていました。
暇そうなときに「空いているときでいいですか」と入るなら、まだ話は別です。相手が誰なのか、何をしているのかを見ずに、聞きたいことだけを畳みかけると、相手は構えます。しばっちも、自分が聞きたいことだけを聞いているように見えると受けました。
ネットで分かることを、会場へ来てから全部聞くのも違います。あらかわは、自分はここまで調べた、と持ってきてほしいと話しました。一方で、しばっちには、ふらっと無料相談に来る人や新人から、同じような聞き方をされる経験があります。
「何をしたらわからないから、どう調べたらいいですか、とかね。そういうのだったらわかる」(しばっち)
「教えてください」だけでは困る、としばっちは何度か言っているそうです。調べ方が分からないという質問と、調べれば出てくることをそのまま教えてほしいという質問は、別のものとして話されました。
年齢による印象の違いも出ました。若い相手がぽやんとしていても、そこまで苛立ちにくい。一方で、歳を重ねてから同じテンションで来られると引っかかる。自分の1.5倍くらいの年齢の相手だとイラッとする、という感覚も口になりました。
年がいってから起業しようとする人のなかには、この聞き方のまま来る人が少なくない。だから、控えめに入った方がいいとあらかわは話します。
もちろん、知らないジャンルへ行って質問すること自体を否定しているわけではありません。急に料理屋を始めたくなって習いに行くなら、分からないことを恥ずかしがらずに聞く必要があります。そのときも、相手と場の空気を尊重することは欠かせません。
1-3. 自分からも知見を渡す
二つ目の心がけは、相手に何かを渡すことです。ここでいうお土産は菓子折りではありません。
自分はこういう仕事をしていて、こういうことは分かる。一方で、相手の領域は分からないので教えてほしい。そう伝えれば、相手も、その背景があるならこちらはこういうことを渡せる、と返せます。あらかわは、これで会話が成り立つと話しました。
もともと利害がない相手同士でも、互いに渡せるものがない関係は、そのうち付き合いたくなくなる。だから、質問する側も、自分から何を提供できるかを考える必要があります。
例として出たのが、赤澤大臣がアメリカとの交渉をあとから語る動画を、あらかわがYouTubeで見たという話です。そこから引いたのは、自分が絶対に飲めない条件を持っているとき、代わりに相手のメリットになる提案をどう持っていくかという点でした。
誰かに質問するときも、相手に対して自分は何を渡せるかを考えるところは同じです。しばっちも、その点は大事にしていると応じています。
1-4. 関係の距離に合わせて頼み方を変える
長く話している相手、友人、初対面では、聞き方もお願いの仕方も変わります。関係の距離を履き違え、近い相手にするような話し方で入ってくる人がいる。あらかわは、自分も人の振る舞いを見て直す必要があると振り返りました。
その人のキャラクターを知っているかどうかも、許される範囲に関わります。ぱっと見は感じがよくても、話してみると違うことがある。相手を尊重し、相手に貢献し、相手と関係を作る。この三つがなければ、教えを請うこと自体が難しくなります。
関係の作り方の例として、経営者の会や同友会などが挙がりました。そこに入って同期になり、腹を割って話せる関係ができてから悩みを出すのは自然です。
一方、異業種交流会や初対面の場、展示会でいきなりずかずか来られると、よほどうまいか、テンションが合わない限り、相手は引きます。
しばっちは、言っていることはもっともだと受けました。自分たちにも、聞く側と聞かれる側の両方があります。これから歳を重ねるほど、この聞き方をすると分かっていないと思われ、距離を置かれるかもしれない。人当たりには、これからこそ気をつけたいという話です。
あらかわは、この番組を聞いている人を、その注意の対象には置きませんでした。役に立つか分からない話から、自分で使えるものを拾う姿勢がある人なら、ここを心配しなくていい。歳を重ねるほど、このあたりを大事にしないといけないという、自分たちへの話として前半を終えました。
2. 展示会に出ると、仕事の締め切りができる
後半では、展示会の目的を商談だけに置かず、少人数の仕事を動かす締め切りとして使う考え方を聞きました。
2-1. 商談より締め切り効果を重く見る
しばっちは、前半の聞き方を踏まえて質問に入りました。あらかわは展示会やイベントのあとに、疲れた、大変だったとよく話します。それでも何がいいのか。自分の仕事は展示会に馴染まず、行ったこともない。行ったら何が起きるのかを聞いてみる、という流れです。
あらかわは、展示会に出る目的はいくつかあるとしながら、自分の中で一番大きいのは締め切り効果だと言いました。コミケに出る作家と、発想は同じです。展示会があるから、そこに間に合わせるために新しい商品を作る。展示会があるから、在庫を積む。
本来の目的は、商談をして売上を上げることです。それでも、あらかわにとっては締め切り効果の方が優先されます。
「展示会に出ないと、マジでのんべんだらりと仕事しちゃうんですよ」(あらかわ)
本末転倒に見えるかもしれないと認めたうえで、少人数で小さい仕事をしているからこそ必要だと説明しました。大きい会社なら、社内行事ごとに締め切りがあり、上司から数字を見られ、月次でも確認されます。
それがないと、のんびりしたまま進んでしまう。互いを見る仕組みが働かないからです。しばっちも、その感覚は分かると受けました。定期的に展示会へ出ることで、そこまでにやることを片付けるわけです。
あらかわは、しばっちの仕事でも考え方は動くと仮定しました。行政書士事務所が12月の展示会に出ると決まったら、何をするか。しばっちは、商品を売る展示会なら何かを作る必要があるし、法人向けなら相談のパッケージを考えることになるかもしれないと答えます。
あらかわが大事だと言ったのは、その「考える」ことでした。12月に出展するという予定そのものより、締め切りがあると頭が動くことを確認した場面です。
2-2. 法人向けと個人向けで成果の出方が違う
その日、その場で大きく儲かるのか。しばっちの周りでは、行ったけれど儲からなかったという話の方が多い印象でした。あらかわは、法人向けと個人向けで分けて考えます。
法人向けでは、その場での即発注がかなり減りました。10年ほど前は、会場で伝票を書いて発注する様子も多かった。いまは関係を作り、あとから商談して、1年後に決まることも珍しくないという感覚です。
仕入れの決裁が現場まで降りてこなくなったことも理由に挙がりました。上の人が会場に来ていても、その後の会議でないと決められないと言われる。商品の仕入れなら、その場で決まることもありますが、大きめのシステム導入はその場では決まりません。
法人向けの展示会は、アポイントを取り、リストを持ち帰る場としても使えます。
個人向けは、その日に売らないと意味がありません。来場者はエンドユーザーで、その場で買いたい。日販をいくらにするか、イベント全体でいくら売るかが勝負になります。
得意不得意を聞かれたあらかわは、どちらも特段得意ではなく、日々勉強だと答えました。数字の例として出たのは自分の売上ではなく、知り合いの会社です。1,000円くらいの商品で行列ができ、日販が50万円、100万円になる人もいる。100人に1,000円なら10万円で、一人が5個、10個と買うこともあるという計算も出ました。
展示会の効果は、その日のレジだけではありません。事前に告知してファンが集まり、イベントで買ってもらう。Twitterなどで盛り上がり、そこで知った人があとからネットで買うこともあります。
一回だけ出て何かが起きることは、なかなかありません。続けるところに意味があり、各イベントにはうまくいっている人がいる。その人のやり方を見て、守破離でいえば、まず守る、つまり真似るところから始める。あらかわはそう話しました。
出展者同士は同じ側にいるので、成功している人でも教えてくれることがあります。仲間だからオープンに話せる。そこが展示会のよいところです。
2-3. 月1回の出展と、あとから売れるPR
回数については、業種も規模もばらばらで、主催する側を含めるかどうかという話も挟まりました。答えは、なんやかんや月に1回、年に12回くらいです。
遠方なら交通費がかかり、物を出すなら送料もかかります。それでも行くのかとしばっちが確認し、あらかわはそうだと答えました。
個人向けで多いのは、会場のあとでネットが売れることです。「検討します」と言った人があとからネットで買う。Twitterなどで盛り上がり、そこで知った人があとから買う。
メディアに広告を出したり、SNSにまとまったお金をかけたりすることと比べれば、出展はPRの費用として考えられます。その日の売上だけでなく、告知と後日の購入まで含めて見るわけです。しばっちは、忙しいときでも出展する側に気持ちが動くと受けました。
2-4. 初めて出すなら、まず客として会場へ行く
初めて出展する人への助言を聞かれ、あらかわは、あまり考えずに出てみればいいと答えました。ただ、何も見ずに申し込むという意味ではありません。
まずはお客として、いろいろなイベントへ行く。そこで主催者を捕まえて「出たい」と伝える。主催者は出展者が増えた方がうれしく、出展者から費用をもらう側なので、基本的には親切にしてくれる。あらかわは、そういう入り方でいいと話しました。
営業との比較も出ました。飛び込みで売るより、展示会の方が言い訳としてきれいです。名刺を交換し、顔も見ている。そのうえで、もう一度行かせてくださいと言える。
あらかわは、日本人はシャイで、最初のアイスブレイクが難しい方だと思うと話しました。営業したくない人ほど展示会は合いやすいのではないかとしばっちが確認し、あらかわもそういう人はいると答えています。しばっち自身にも当てはまる、というやりとりでした。
出展するときは、そのままの自分を並べればよいわけではありません。自分の技能に何かを掛けて、商品にする必要があります。
名前は失念したとしながら、あらかわは、弁護士が何らかのデジタル系サービスを作り、展示会に出している例を挙げました。ボードゲームを作って、おもちゃ系の展示会に出る例も話しています。
規模の話では、金型に関わる試作という、かなり狭い業種の出展者が出てきました。五年坊主でも、六年目に大企業の仕事が一発決まれば、それで全部ペイするような商売をしている。一発で何千万円という話です。
最終的にどこをゴールに置くかによって、出展する形も変わります。
しばっちは、自分も何か商品ができたら積極的に出たいと返しました。すると、あらかわは順番が逆だと止めます。締め切り効果なので、申し込んでから商品を作る。一緒に出ている人にも、とりあえず申し込んで、何をすればいいか分からない人が多い。ドMなのかもしれない、とあらかわは言っていました。
「締め切り効果ですよ。申し込んでから商品を作るんですよ」(あらかわ)
3. 展示会で見る、人とその後の関係
締めくくりでは、あらかわが今日は自分ばかり話したかもしれないと振り返り、しばっちは聞き役だったと整理しました。そこで出てきた裏テーマが、展示会での人間観察です。
日常のルーティンでは会わない人が、ジャンルをまたいで来場します。あらかわは、法人向けより個人向けの方が、予想の外のお客さんが来て面白いと話しました。商売とは関係なく、好きで来ている人もいます。
同人系のイベントでは、お金をもらいにくい仕事の人が、無料でものを配っていることもある。物販に見えても、ある系統から人が流れてきている。同人の側から流れてきている。そうした裏の動きを、分かったつもりにならず、話を聞きながら見るのが面白いという話です。
イベントが終わったあとは、出展者同士で飲みに行く。そこで仲良くなった相手から来る情報は強い。展示会へ行く理由の一つは、その関係を作りに行くことでもあります。
売り場の数字だけでなく、誰がどこから来ているのかを見る。終わったあとの会話に残るものもある。しばっちに来年は何件出るのかと振ったところで、まだ何も決まっていないというオチになりました。
エピソードの総括
この回から持ち帰れること
教えてもらう側の話と展示会の話は、しばっちが前半の聞き方を意識して後半の質問をしたことでつながりました。
- ブースの前を占領して矢継ぎ早に聞くと、悪意がなくても相手の仕事を止めてしまう
- 検索で分かることと、「何から調べればいいか」と尋ねることは別の質問である
- 自分の仕事や知見を渡せると、相手との会話が続きやすい
- 初対面と長く付き合っている相手では、頼み方を変える
- あらかわにとって展示会は、商談の売上より締め切り効果の意味が大きい
- 法人向けは後日の商談、個人向けはその日の売上とネットへの戻りを見る
- 初めて出すなら、客として会場へ行き、主催者に「出たい」と伝える
仕事に持ち帰るなら、人に聞く前にその場と相手を調べ、自分から渡せる知見を添えること。展示会に興味があるなら、商品の完成を待たず、まず客として会場へ行き、主催者に「出たい」と伝えて締め切りを作ることです。
売上だけでなく、出展までに何を作るか、誰と知り合うか、イベント後にどんな関係が残るかまで含めて見ると、展示会の使い方が変わります。
monotips stationについて
monotips stationは、ビジネスの小ワザを紹介するWEBマガジン「monotips」から生まれたPodcastです。編集長のあらかわと副編集長のしばっちが、ビジネスに役立つTIPSを話しています。
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