MonotipsStation · #323

閑散期の売上減を逆手に取る戦略と、サブスクの卒業基準|monotips station 第323回

8月の売上減に焦らない弱者の戦略と、便利でも多すぎるとノイズになるサブスクの卒業基準。monotips station第323回、あらかわ・しばっちが語る実務Tips。

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閑散期の売上減を逆手に取る戦略と、サブスクの卒業基準|monotips station 第323回

イントロダクション

収録日2026年8月4日、放送予定日8月5日のmonotips station第323回。8月に入り、あらかわとしばっちの実務ネタ2本立てをお届けします。

しばっちのテーマは、「閑散期に焦らない、8月の売上減を逆手に取る弱者の戦略」。B2Bの問い合わせが減りやすいこの時期に、値引きや専門外の案件でごまかそうとせず、経営計画を立て直す時間として使う考え方です。

あらかわのテーマは、「お得でも多いとノイズになる、サブスクの卒業基準」。便利なサービスほど契約したまま放置しがちなサブスクを、金額ではなく「注意力」という軸で整理し直す方法を語ります。

季節の波にどう構えるか、増え続けるサブスクをどう手放すか。どちらも「今の自分に合っているか」を定期的に問い直す姿勢が共通しています。


1. 閑散期に焦らない、8月の売上減を逆手に取る弱者の戦略

1-1. なぜ8月はB2Bの問い合わせが止まるのか

8月は売上が下がりやすい季節だと言われます。しばっちの実感でも、事務所へのお盆期間の問い合わせやアポは、他の月に比べて明らかに少なくなるといいます。

理由として挙げるのが、決済権者の長期休暇です。B2Bの取引は決裁を持つ人が動けないと話が進まないため、担当者が休みに入るだけで案件全体が止まってしまいます。一方でB2Cはむしろこの時期に忙しくなりがちで、レジャーや買い物の消費行動自体は大きく変わらないというのがしばっちの見立てです。

つまり8月の売上減は、業種やビジネスモデルによって受け方がまったく違う季節要因だといえます。B2B中心の事業ほど、この時期の落ち込みを前提に動き方を考えておく必要があります。

1-2. 閑散期にやってはいけない3つの手

しばっちは、問い合わせが減った時にやりがちな「悪手」を3つ挙げています。

とりあえずの値引き営業

そもそも引き合いが少ない時期に値引きをしても、大きく件数が増えるわけではありません。むしろ一度下げた価格は元に戻しにくく、これまで積み上げてきた自社のブランド価値を自分で壊すことにつながります。

自分に合わない案件を引き受ける

スケジュールに余白があると不安になり、普段なら手を出さない専門外の仕事や自信のない案件まで引き受けたくなります。しかしこうした案件は時間がかかる割にクオリティを担保しにくく、結果的に負担だけが増えてしまいます。

無計画なSNSの大量更新

時間があるからと、深く考えないままSNS投稿やホームページの更新を一気に行うのも要注意です。まとめて動かした結果が、月単位で見ればごく普通の更新量に均されてしまうことも少なくありません。

1-3. 弱者だからこそ選べる「売らない」という戦略

ここでしばっちが強調するのが、固定費の違いです。大企業のような「強者」は固定費が高いため、閑散期であっても何とかして売上を作り、その費用を賄わなければなりません。

「強者、大企業は固定費が高いので、なんとしてでも売上を作らなきゃいけない。でも弱者は固定費が低いから、無理に売りに行く必要はないんです」(しばっち)

中小・零細企業のような「弱者」は、固定費そのものが小さいケースが多く、売れない時期は売れないと割り切りやすい立場にあります。問い合わせが来ないなら、いっそ休んでリフレッシュするという選択肢も取れます。

さらにしばっちが指摘するのは、日々の案件対応に追われる「労働集約型」からの脱却です。案件が落ち着く閑散期こそ、目の前の仕事をこなすだけでなく、仕組みづくりや今後の方向性を考える時間に充てられるタイミングだといいます。

1-4. 経営計画を立て直す3つの視点

具体的な計画の立て方として、しばっちは3つの視点を挙げています。

1つ目は「やらないことの最低限」を決めること。上半期を振り返り、受けたけれど合わなかった案件や、今後やりたくない仕事をリストアップし、自分たちの事業からあえて外す判断をします。

2つ目は「お客様の一歩先の準備」。目の前の依頼に対応するだけでなく、そのお客さんが将来的にやりたいはずのことを見越して、必要な情報を今のうちに集めておく発想です。

3つ目は「価格と粗利率の再設定」。特にモノを扱う商売では、流通が絡むぶん値上げの手間は大きくなります。店頭在庫や卸の在庫まで含めてどう価格を反映させるかを考える必要があり、平均すると1〜2割程度、商品によってはそれ以上の値上げ幅になることもあります。サービス業は値上げの理由づけがしにくい一方、モノを扱う側は原価上昇を理由に説明しやすいという違いもあります。

数字の見方についても一工夫あります。前年同月比だけを見ると季節要因のブレに一喜一憂しがちですが、しばっちは直近12か月分を積み上げて年間ベースで売上を確認する方法を勧めています。月ごとの数字は案件の大小で数倍ブレることもありますが、年間で均すことで実態がつかみやすくなるといいます。

まずは半日から数時間、パソコンを閉じてカフェのような場所で今後の計画を考える時間を意図的に取る。これが、閑散期を「仕方ない時期」で終わらせず、次の四半期への準備期間に変える具体的な一歩です。


2. お得でも多いとノイズになる、サブスクの卒業基準

2-1. 仕事系サブスクは3種類に分けて考える

あらかわは、エンタメ系のサブスクとは別に、仕事に関わるサブスクをできるだけ減らそうとしてきたといいます。しばっちも同様で、多少割高でも単発契約を選ぶ方針を持っています。

その上で、仕事系のサブスクは大きく3つに分類できるとあらかわは整理します。

インフラ系業務に組み込まれているもの

会計ソフトやストレージサービス、CanvaやAdobeのようなデザインツールがここに入ります。会計ソフトは年々値上がりが進み、取引量が増えて法人契約に切り替えると、さらに費用がかさみます。Adobeのように年間契約が高額になるサービスもありますが、実務に不可欠なぶん、契約を止めれば翌日の仕事が止まってしまうため、簡単には解約できません。ここで見直せるのは、契約プランが実際の利用実態と合っているか、使っていない上位プランや放置されたドメインが残っていないかという点です。

学び系

オンラインサロン、有料講座、有料メルマガ、有料メンバーシップなどが該当します。

保険型

「いつか使うかもしれない」という理由で契約したまま残っているものです。素材サイトの有料プランや、コワーキングスペースの月額利用、スマホの保険などが例に挙がります。納得して払っている保険型はそのままでも構いませんが、使っていないのに残っているものは見直しの対象になります。

2-2. 「学び系」サブスクがいつのまにか読まれなくなる理由

あらかわが特に掘り下げたのが、学び系サブスクの扱いにくさです。有料メルマガやオンラインサロンは、登録した当初はしっかり読むものの、慣れてくると次第に見なくなっていきます。

プラットフォームによっては通知やプッシュの頻度が高く、それ自体が負担になることもあります。「学びになるから見なければ」という気持ちと、「見るのがしんどい」という気持ちがせめぎ合い、読まれないまま未読が積み上がっていく状態が生まれます。

「サブスクの問題はお金じゃなくて、注意力なんですよね」(あらかわ)

ここでのポイントは、金額の高い安いではなく、自分が処理できる情報量を超えているかどうかです。内容が良く、価格も良心的なサービスであっても、自分のキャパシティに入りきらなければ、それはノイズとして積み上がっていきます。

2-3. 卒業のサインは3つ、金額ではなく注意力で判断する

あらかわは、サブスクを卒業すべきタイミングを判断する3つのサインを挙げています。

同じ話の再放送になってきた

発信側が手を抜いているわけではなく、むしろ軸をぶらさずに話し続けているケースが多いといいます。それでも受け取る側にとっては、既に知っている内容の繰り返しに感じられ、得るものが減っていきます。

自分の質問レベルが合わなくなってきた

メンバーシップなどで主催者に直接質問できる関係は、始めた当初は刺激的です。しかし自分が成長するにつれて、同じレベルの質問をする新しい参加者との温度差が生まれ、居心地が変わってくることがあります。

空気が合わない

その場のノリや言葉の強さが自分に合わないと感じるケースです。同じ内容を伝えていても、言い方や相性によって受け取り方は大きく変わります。優しい言い方で圧が強い人もいれば、厳しい言い方でも安心して聞ける人もおり、これは実力や姿勢の問題ではなく単純な相性の問題だとあらかわは指摘します。

この3つのうち1つでも当てはまれば、卒業を検討していいタイミングだといいます。無理に理由を説明したり、丁寧な挨拶を重ねたりする必要はなく、静かに退会する形で十分だという考え方です。

2-4. 今日からできる3ステップの棚卸し

実践のステップとして、あらかわは3つを挙げています。

1つ目は、契約しているサブスクを全部書き出すこと。カードの明細を1年分見返すと、想像より多くの支払いが見つかります。

2つ目は、月額表示のものを年額に直して見ること。月500円のサービスも年間では6,000円になり、金額の重みが変わって見えてきます。

3つ目は、1つだけ思い切ってやめて1か月様子を見ること。一気に全部やめるのではなく、1件ずつ試しながら「なくても困らないか」を確かめていく進め方です。

最後の判断基準として、あらかわは「今月、これで実際に動いた仕事があったか」を挙げます。勉強になった気がするだけで実務が動いていないなら見直しの対象になりますが、そのツールがあったからこそ進んだ仕事があるなら、金額以上の価値があるということになります。

「それ以上の仕事をしてるから、バイトを雇ってるみたいな感じなんです」(あらかわ)

これは、複数のAIツールに毎月まとまった金額を払っている自分自身の状況について語った言葉です。高い・安いという印象だけで判断せず、実際に成果につながっているかどうかで見極める姿勢が、サブスクとの付き合い方の軸になっています。


エピソードの総括

今回の学びとポイント

今回の2テーマに共通するのは、「今の自分に合っているかどうか」を定期的に問い直す姿勢です。

  • 8月の売上減は業種によって受け方が違い、B2B中心の事業は決裁者の休暇による一時的な落ち込みと理解しておく
  • 閑散期にやりがちな値引き営業・専門外の案件受注・無計画な大量更新は、いずれも長期的にはマイナスに働きやすい
  • 固定費の小さい事業ほど、無理に売りに行かず、経営計画の立て直しに時間を使う選択肢がある
  • サブスクは金額ではなく、自分の注意力のキャパシティに収まっているかどうかで見直す
  • 卒業のサインは「話の再放送」「質問レベルのズレ」「空気の不一致」の3つ、1つでも当てはまれば検討のタイミング

あらかわ・しばっちからのメッセージ

季節や情報量が自分の許容範囲を超えてきたときに、無理に合わせ続けるのではなく、一度立ち止まって仕分けし直す。閑散期の過ごし方も、サブスクの整理も、根っこにあるのは同じ発想でした。

次のステップ

この記事を読んだあと、まずは毎月支払っているサブスクを一度すべて書き出してみてください。あわせて、今の閑散期・繁忙期のリズムに合わせた経営計画を、パソコンを閉じて考える時間を意図的に作ってみるのもおすすめです。


monotips stationについて

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